大破ログ

日々大破、それと側転少々。PC関連その他、気になったことなどをつらつらと。

ELECOM WRC-2533GST

ミドルレンジのWRC-1167GHBK2-Sに続き、偶然5kで安価に入手できたこの機種についてもサポート作業を行い、マージされました。まとめていきます。

仕様

もはや恒例となったMT7621です。最上位に相応しく、デュアルコアのMT7621Aを搭載しています。
無線については、2.4/5GHzそれぞれにMT7615を1つずつ載せて各4x4を実現しています。ただし、WRC-1167GHBK2-Sと同様に現状ではOpenWrt (mt76)でのサポートは無いため、使用することはできません。

  • SoC: MediaTek MT7621A (880MHz, 2C4T)
  • RAM: DDR3 SDRAM 128MB
  • Flash: SPI Flash 16MB
  • WAN/LAN: 1000Mbps x1 / 1000Mbps x4
  • UART: 57600bps(RJ45側からVcc, GND, TX, RX)

その他ハードウェアやKernel等細かい点の詳細については、雑記ブログにメモしてあるのでそちらを参照。

OpenWrt化

WRC-1167GHBK2-Sと同様に、メーカーファームがOpenWrtベースであったこと、"firmware" パーティションにkernelとrootfsを持つ構造であったため、factoryファームをOpenWrtで用意できました。これにより、簡単に導入できます。

  • WRC-2533GSTを起動
    WRC-2533GSTに電源ケーブルを繋ぎ、普通に起動。
  • WebUIにアクセス
    PCとWRC-2533GSTをLANケーブルで繋いで http://192.168.2.1/にアクセス
  • ファームウェア更新ページへアクセス
    管理用アカウントの設定を要求された場合は適当に設定し、ファームウェアの手動更新ページへアクセス
  • ファーム更新
    WRC-2533GSTのfactoryファームを選択し、アップデートを実行
  • 完了
    Flashの書き込みが完了後再起動され、OpenWrtで起動してくる

備考

  • WRC-2533GSTはメーカーファームが前述のとおりOpenWrtベースでであり、構造としてはKernel + Rootfsをfirmwareとしてまとめている、OpenWrtでよく用いられる手法
    • ただし設定保存用のrootfs_dataパーティションFlash内の最後に別個で存在
    • 今回もrootfs_dataは使用せず、"user_data" にリネームしたうえでread-onlyに設定
  • アップデート用ファームはヘッダが "ELECOM 機種名 バージョン" 、ファーム末尾にヘッダを除いた部分のmd5チェックサムが付き、さらにそのあと "MT7621_ELECOM_WRC-2533GST" の文字列が付く。
    ヘッダ例:
    ELECOM WRC-2533GST v1.02
    末尾につくMT7621~を除くとWRC-1167GHBK2-Sとほぼ同一だが、md5チェックサムの後にWRC-1167GHBK2-Sでは存在していた \n を意味する 0A が無かった。このため、WRC-1167GHBK2-Sのfactory生成コードをそのまま流用できなかった。
  • メーカーファームでアップデートする際、WRC-1167GHBK2-Sと異なりファームウェアのファイル名は見ていないため、OpenWrtのファイル名のまま投入可。
  • メーカーファームへの書き戻しは、バックアップ済みのfirmwareパーティションをOpenWrtでのfirmwareパーティションにmtd writeするか、もしくは未検証ながらアップデートファームからヘッダと末尾のmd5チェックサム、"MT7621_ELECOM_WRC-2533GST" を除去したものをfirmwareパーティションにmtd writeすることで恐らく可能。
  • Power LEDにRGBの三色が搭載されている。デフォルトではWRC-1167GHBK2-Sと同じくgreenを電源やステータスランプとして使用。
  • MT7621ではHW NATが実装されているため、NATのCPU負荷をかなり抑えることが可能。
  • 2.4/5 GHz LEDはGPIOではなくMT7615にぶら下がっているらしく、現状では使用不可。

色々

今回はfactoryファームの作り方で少々議論。個人的にはWRC-1167GHBK2-Sの際に用意したMakefile内の関数で作らせたかったものの、Flagを立てて分岐させるのはメンテナ氏にとってはあまり好ましくないらしく、別途WRC-xxxxGST用のfactory関数を用意することになった。この関数は、恐らくWRC-1750GSとWRC-1900GSTでも使用可。WRC-1750GSV、WRC-1167GST2についてはまだメーカー公式サイトでアップデートファームが公開されていないため、使用できるか不明。
それ以外には特に問題無し。

写真

基板の半分程度を覆うヒートシンクが印象的。
2.4/5GHzそれぞれでMT7615を搭載するため、WRC-1167GHBK2-Sに比べて実装面積はやや大きめ。それでも空き領域も大きい。