
以前よりMediaTek Filogic SoC搭載機であることを把握していたWRC-X6000QSと、それにハードウェア的にかなり近いらしいことから気になっていたGSDの2機種。前者は未所有で、後者は少し前にAmazonの欲しい物リストから寄付があり入手(感謝)。
先行してWRC-X6000QSのサポートが別の方によりオープン済みであり、それを基に改善と共通化を図る形でGSDの作業を行い、諸経緯によりQSも引き継いだ後マージされました。
まとめていきます。
仕様
どちらもMediaTek MT7986BLAを搭載するWi-Fi 6ミドルレンジ機種としては特段の癖が無く、率直な構成。DDR3 RAMはSoCパッケージ内に同封されており、基板上には無し。
共通仕様
- SoC: MediaTek MT7986BLA
- RAM: DDR3 512MiB(SoC内)
- Flash: SPI-NAND 128MiB
- UART: J1, 115200bps(三角側から3.3V, TX, RX, NC, GND)
WRC-X6000QS
- WAN/LAN: 2.5Gbps x1/1000Mbps x4
WRC-X6000GSD
- WAN/LAN: 1000Mbps x1/1000Mbps x4(メーカーファームウェア), 2.5Gbps x1/1000Mbps x4(OpenWrt)
その他詳細については、雑記を参照。
OpenWrt化
構造がサポート済のWRC-X3000GS3と同じであり、factoryイメージを仕立てられています。
- WRC-X6000QS(またはGSD)をルータモードで起動
http://192.168.2.1/のWebUIにアクセスしてファームウェア更新ページを開く- factory.binイメージを選択し、"適用" ボタンを押下してファームウェアの更新を実行
- 完了後再起動されOpenWrtで起動してくれば完了
備考
Flash内にはOSイメージ用領域が2組存在し、メーカーファームウェアにおいては、更新毎に他方へ書き込まれ更新後はそちらに切り替えられる。ブートに使用されるパーティションは
persistパーティション内に存在するbootnumの値によって制御される。なお、OpenWrtではこの切り替えは自動的には行わず、手動で切り替えない限りは最初に導入された方を使い続ける。
ブート時にU-Bootにおいてシリアルコンソールに表示されるはずのブートメニューはメーカー出荷時点で無効化されており、kernelのブート開始を止めることはできない。OpenWrtを導入後、初めてsysupgradeを行う際に設定値の更新が行われ、ブートメニューが表示されるようになる。
作業時の色々
もうだいぶ前にサポートを行ったWN-DX1167Rが、1Gbpsに対応しているはずのLAN側ポートを100Mbpsまでに制限していた事例もあり、メーカーファームウェアから取り出したGSDのDeviceTreeを見てQSとほぼ同じであることに「もしかしたら」と思ってはいたものの、実際にGSDを入手して開けて見ると、1GbpsまでであるはずのWAN側に使用されているEthernet PHYが2.5Gbps対応のGPY211であり、予想が当たったことにある意味驚いた。
冒頭に書いた通り、既にオープン済みであった、他の方によるWRC-X6000QSのサポートをベースとしてGSDのサポートを追加する作業を開始した。いくつかQSの方でも修正や改善したい点があり、作業内で変更しつつ前述のPR内で指摘を行っていたところ、"引き継いでもらうことは可能か" という提案があったことから、こちらで所有していないWRC-X6000QSの仕様(ハードウェアの挙動など)の確認を行いつつ修正や改善等の取りまとめやGSDとのコード共通化を行い、新規にPRをオープンして(1点指摘を受けたのでそれも修正しつつ)マージされた。
上述の通りデュアルブートに対応しており、WRC-X3000GS3にて作成し投入したドライバで扱えるものであったことから、別の方によるWRC-X6000QSのサポートでもそれを利用して対応されており、GSDでも同様とした。
OpenWrt導入後は、sysupgrade用のスクリプト (
/lib/upgrade/elecom.sh) を用いてブートに使用するパーティションを切り替えることで、メーカーファームウェアでのブートに戻すことができる。詳細については各サポートのコミットを参照。
色々
上述の通り、WRC-X6000QSと(恐らく)同じ基板を採用しつつ、GSDでは2.5Gbps対応のWAN側ポートを1Gbpsまでに制限していることに少し驚いた。
記事執筆時点では既に両機種ともディスコンとなっており、WRC-X6000QSは中古がいくらか安価になって来た印象。GSDは中古の出があまり多く無さそうではあるものの、選択肢が増える点は良し。
本機種も1つ前の記事のWSR-3000AX4P同様に、v25.12シリーズには入らず、その次のメジャーリリースからです。





