大破ログ

日々大破、それと側転少々。PC関連その他、気になったことなどをつらつらと。

Panasonic Switch-M24eG PN28240K (+16/48)

Switch-M24eG PN28240K内部

少し前にサポートされたSwitch-M8eG PN28080Kに続くPanasonic機。
最初にSwitch-M24eG PN28240Kを確保して作業していたものの、諸事情によりSwitch-M8eG PN28080Kを先に投げ込みマージされていました。今回同シリーズの残り3機種もサポート作業を行って投げ込み、マージされました。
まとめていきます。
(多少の差異はあるものの、3機種とも似通っている為1つの記事にまとめます。)

仕様

16ポートのSwitch-M16eG PN28160Kと24ポートのSwitch-M24eG PN28240KはRTL8382Mを、48ポートのSwitch-M48eG PN282480KはRTL8393Mを搭載しています。

Switch-M16eG PN28160K
  • SoC: RTL8382M (1C1T, 500MHz)
  • RAM: DDR3 128MiB
  • Flash: SPI-NOR 32MiB
  • Ethernet: TP → 1000Mbps x16, SFP → 1000Mbps x2(TP 2ポートとコンボ)
  • RS-232C: 9600bps(RJ45, 所謂Ciscoケーブル互換)
Switch-M24eG PN28240K
  • SoC: RTL8382M (1C1T, 500MHz)
  • RAM: DDR3 128MiB
  • Flash: SPI-NOR 32MiB
  • Ethernet: TP → 1000Mbps x24, SFP → 1000Mbps x2(TP 2ポートとコンボ)
  • RS-232C: 9600bps(RJ45, 所謂Ciscoケーブル互換)
Switch-M48eG PN28480K
  • SoC: RTL8393M (1C2T, 700MHz)
  • RAM: DDR3 128MiB
  • Flash: SPI-NOR 32MiB
  • Ethernet: TP → 1000Mbps x48, SFP → 1000Mbps x4(TP 4ポートとコンボ)
  • RS-232C: 9600bps(RJ45, 所謂Ciscoケーブル互換)

その他詳細については、雑記を参照。

OpenWrt化

だいぶ複雑で長い手順を執る必要がある為、ここには掲載しません。各サポートのコミット内に記載されている手順を参照してください。

備考

  • Switch-M*eGには旧モデルである "PN28xx0" が存在するが、そちらはPN28xx0Kと異なりBroadcomベースのハードウェアであり、今回のサポートと互換は無く、今後OpenWrtにおいてサポートされることも無い。
    PN28xx0は筐体フロント部分が本体と同色の緑で塗装されており、一方でPN28xx0Kはフロント部分のみ黒色に塗装されているため、そこで見分けることが可能。

  • フロント正面左側にある "LED DISPLAY" ボタンは、特段の機能を割り当てていない。その為、押しても再起動や設定の初期化は行えない。シリアルコンソールは表に直接出ているので、そちらからコマンドで実施などする。
    なお、 "LED DISPLAY" ボタンはブート時にfailsafeに入る為に使用することは可能。

  • SFPポートは現状使用不可
    今回の3機種では、2または4つのSFPポートは全てRTL8218FBチップに接続されている。

  Switch-M16eG PN28160K
  Switch-M24eG PN28240K
  ┌───────────────────┐  ┌───────────────┐
  │   PN28240K only   │  │               │
  │         ┌────────────┤    RTL8382M   ├──────────┐
  │         │         │  │     (SoC)     │          │
  │ ┌───────┴───────┐ │  └┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬┘  ┌───────┴───────┐
  │ │               │ │   │ │ │ │ │ │ │ │   │               │  SFP
  │ │   RTL8218B    │ │   │ │ │ │ │ │ │ │   │   RTL8218FB   ├─────┐
  │ │   (Switch)    │ │   │ │ │ │ │ │ │ │   │    (Switch)   ├──┐  │
  │ └┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬┘ │   │ │ │ │ │ │ │ │   └┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬┘  │  │
  │  │ │ │ │ │ │ │ │  │   │ │ │ │ │ │ │ │    │ │ │ │ │ │ │ │   │  │
  │  │ │ │ │ │ │ │ │  │   │ │ │ │ │ │ │ │    │ │ │ │ │ │ │ │   │  │
  │                   │
  │  P1     -      P8 │16:P1     -      P8   P9     -     P16  15 16
  └───────────────────┘24:P9     -      P16 P17     -     P24  23 24


  Switch-M48eG PN28480K
                        ┌───────────────┐
                        │               │
          ┌─────────────┤   RTL8393M    ├─────────┐
          │             │     (SoC)     │         │
          │             └───┬───────────┘         │
          │                 │             ┌───────┴───────┐    SFP
  ┌───────┴───────┐ ┌───────┴───────┐     │               ├───────────┐
  │               │ │               │     │               ├────────┐  │
  │   RTL8218B    │ │   RTL8218B    │.....│   RTL8218FB   ├─────┐  │  │
  │   (Switch)    │ │   (Switch)    │(+3x)│    (Switch)   ├──┐  │  │  │
  └┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬┘ └┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬┘     └┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬─┬┘  │  │  │  │
   │ │ │ │ │ │ │ │   │ │ │ │ │ │ │ │       │ │ │ │ │ │ │ │   │  │  │  │
   │ │ │ │ │ │ │ │   │ │ │ │ │ │ │ │       │ │ │ │ │ │ │ │   │  │  │  │

   P1     -      P8  P9     -      P16    P41     -     P48  45 46 47 48

上記の図においてそれぞれ右側にあるRTL8218FBチップは、現状realtek targetのPHYドライバにおいてサポートされておらず、3機種ともコンボポートのRJ45ポート側についてはほかのチップ向けのサポートによって動作するものの、SFPポートは正しく初期化されず、またSFPポートを持っているという情報も認識されていない為切り替えて使用することができない状態にある。
現在このチップのサポート追加の作業を進めており、おおよそ問題無く動作する状態まで到達済み。ただし他の方からのpatch等を待っている状況の為、OpenWrt公式への投げ込みは未定。

  • Switch-M48eG PN28480Kは筐体にファンを2つ搭載しており(制御は一体的)、停止することはできず速度のHigh/Lowの切り替えのみを行うことができる。
    このファンについては、メーカーファームウェアにおいてはユーザーによる手動での切り替えのみがサポートされ、計測された温度に従っての自動制御は行われない。一方でOpenWrtにおいては、基板上のSoC/Systemの2か所の温度をもとにして自動的に制御されるように構成した。
    SoC温度が45℃、またはシステム温度が40℃に到達して4秒程度継続するとファン速度がLowからHighへと遷移し、SoC温度とシステム温度の両方が前述の温度をそれぞれ下回るとHighからLowへ遷移する。
    また、安全の為SoC温度が55℃に到達して1秒程度またはシステム温度が50℃に到達して2秒程度継続すると、緊急状態としてLinux Kernelが自動的に再起動されるように構成した。

  • Switch-MeG PN28xx0Kに類似のシリーズとして、使用可能温度範囲を高めたSwitch-MeGi PN28xx0iシリーズが存在する。そちらはハードウェア的にはほぼ同一と思われるものの、実機を所有しておらず確認できない為今回のサポートの対象とはしていない。

  • OpenWrtのリリース版については、記事執筆時点で22.03シリーズにはbackportされていない為、22.03シリーズの次のメジャーリリースから含まれると思われる。

作業時の色々

  • 元々はSwitch-M8eG PN28080Kよりも先にSwitch-M24eG PN28240Kを確保して作業を進めていたものの、前述のとおりRTL8218FBに関しての問題がある為、PN28240Kはチップのサポートと共に投げ込みたいと思って保留とし、先にRTL8218FBを搭載しないSwitch-M8eG PN28080Kを投げ込んだ。
    ただし、作業を進めるにあたってSFPサポートが無くてもデバイスサポートが公式リポジトリに存在していた方が何かと便利であることから、RTL8218FBサポートは保留としてSwitch-M24eG PN28240Kと、加えて16, 48ポートの各モデルも先にデバイスサポートのみ投げ込んでしまうこととした。

色々

何度か書いた通り、この3機種についてはRTL8218FBの問題がありサポート投げ込みを見送っていたものの、転換して投げ込みマージされた。
PRをオープンした後、ネットワーク周りやSwitch-M48eG PN28480Kでの温度管理などについて議論があり少々時間を要したものの、無事完了したのでヨシ。
先行してマージされたSwitch-M8eG PN28080K同様、この3機種においてもコンソールポートが搭載されていて非常に扱いやすいため、導入手順は若干手間ではあるものの個人的に好みの機種。
中古ではSwitch-M24eG PN28240Kの数が多く、なおかつ安価であることが多いのでおすすめ。Switch-M16eG PN28160Kは中古で出てくる数が少なく価格も中古のPN28240K比で高くなりがちで、筐体サイズもPN28240Kと変わらないことからOpenWrt目的での確保は少々微妙。Switch-M48eG PN28480Kは時々中古で出てくることはあるものの、基本的には稀で入手性は低め。