大破ログ

日々大破、それと側転少々。PC関連その他、気になったことなどをつらつらと。

APRESIA ApresiaLightGS120GT-SS

ApresiaLightGS120GT-SS内部

Panasonic機に続いて、OpenWrtでは初となるAPRESIA機。
通常OpenWrtのサポート作業に用いるデバイスは中古で調達するものの、ApresiaLightGSシリーズについては中古で出てくることがごく稀で、あまり高価ではなかったことから結局新品で調達。
ファームウェアの構造に絡んで面倒な点が出ていたことから長らく保留にしていたものの、他機種に絡んで投げ込まれた変更により解決したのでこの機種も投げ込みました。
まとめていきます。

仕様

基本的には16+1ポートのAML2-17GPと似た構成であるものの、SFPポートの有無などで差異があります。

  • SoC: RTL8382M (1C1T, 500MHz)
  • RAM: DDR3 256MiB
  • Flash: SPI-NOR 32MiB
  • Ethernet: TP → 1000Mbps x20, SFP → 1000Mbps x4(TP 4ポートとコンボ)
  • UART: J6, 115200bps(三角マークから3.3V, TX, RX, GND)

その他詳細については、雑記を参照。

OpenWrt化

factoryイメージは存在するのもの、投入時に一点のみ注意が必要です。

BSH-G24MBを起動
通常通り電源を接続して起動
ファームウェア設定ページを開く
公式のユーザーズガイドに従ってPCからApresiaLightGS120GT-SSのWebUIにログインし、ファームウェアページを開く
起動イメージを確認して必要なら変更して再起動
"稼働中イメージ" を確認し、"イメージ2" であるなら次の手順へ、"イメージ1" であるなら "次回起動イメージ" を "イメージ2" 設定の上再起動
factoryイメージをリネームしたうえで投入
"次回起動イメージ" を "イメージ1" に設定の上、ファームウェア更新においてfactoryイメージを選択して更新実施 更新が完了後は再起動する
完了
OpenWrtで起動する

備考

  • ApresiaLightGSシリーズはFlash内にOS用パーティションを2組持っており、ファームウェア更新時にはその時ブートに使用していない方のパーティションに書き込まれる。OpenWrtでは1つ目のパーティションからのブートしか想定していない為、公式ファームウェアを2番目のパーティションからブートした状態でOpenWrtのfactoryイメージを1つ目のパーティションに書き込ませる必要がある。
  • フロントのポートLEDを除いたシステム系LEDは "PWR" と "LOOP" の2つが存在しているものの、実際にはそれら2つの中間にもう1つ未使用のLEDが存在している(ただし筐体側に穴が無し)。これについては "green:unused" という名前で定義してあり、OpenWrt上で操作することは可能。
  • ポート17-20においてSFP側を使用している際は "17F" - "20F" が本来点灯/点滅する。ただしOpenWrtにおいては現状TP/SFPどちらを使用していても "17" - "20" が点灯/点滅する。
  • SFPポートは使用可能。 ApresiaLightGSシリーズにおいては、未サポートのRTL8218FBを搭載するPanasonic Switch-M*eG PN28xx0Kシリーズとは異なり、SFPはRTL8214FCによって提供されている。このチップは既にOpenWrtでサポートされており、SFPについても問題なく機能する。
  • 小型ONUはおそらく使用不可。
    ApresiaLightGS120GT-SSにおいても、Switch-M8eG PN28080Kと同様にSFPポートの設計上の電力供給能力上限が不明であり、通常のSX/LXなSFPモジュールが要求する1Wを超えて1.5Wを要求する小型ONUは、現状ではおそらくエラーとなり使用できない。
  • SFPポートに挿入されたモジュールの詳細については、 ethtool -m <port> を実行することで確認できる。(例: ethtool -m lan17
    公式ビルドのethtoolでは生の16進数値を表示するのみである為、テキストに置き換えた表示が必要である場合は "ethtool" を削除の上 "ethtool-full" をインストールする。
  • 型番が近似のPoEモデルが存在するものの、そちらについては現状入手しておらず互換性が確認できていない為、未サポート。また、それを含むApresiaLightGSシリーズの他機種は現時点では入手予定は無し。

作業時の色々

  • ApresiaLightGSシリーズにおいては、製造したCAMEO特有と思しきヘッダがファームウェアに付されており、ブート毎にU-Boot(というよりはU-Bootにより実行されるプログラム?)によりチェックされる。このヘッダの取り扱いに長らく難儀していて、投げ込みを保留していた。
    その後、同じくCAMEOにより製造され、同じヘッダを持つD-Link DGS-1210シリーズが他の人により投げ込まれ、その際ヘッダを含めたファームウェアの生成周りが解決されたので、ApresiaLightGS120GT-SSも同じ構造に落とし込んで投げ込んだ。
  • 上記の通り、初回導入時に1組目のパーティションに合わせる必要があるのが手間であり、誤って2組目に投入してしまった場合トラブルになることから、この機種のPRをオープンした際はそれを解決する為の変更も一緒に投げ込んでいた。
    ただ、両方を併せてとなるとOpenWrtチームメンバーその他によるレビュー等に時間を要することが予想された為、ひとまずApresiaLightGS120GT-SS単体を優先する提案を受けてその通りに変更し、マージされた。

色々

時間は掛ったものの、なんとかマージまで到達したので一安心。初回導入時の手間を減らす変更については受け入れられるかどうか微妙なところであり、ひとまず期待半分でいく予定。
先行してマージされたSwitch-M*eG PN28xx0K (16/24/48)と異なりSFPポートも機能すること、Switch-M8eG PN28080KよりもTP/SFPともにポート数が多いことなどから、その点で色々と活用しやすい機種に思える。
ちなみに、DGS-1210シリーズのRealtek SoCを搭載するハードウェアリビジョンと基板がほぼ同じである模様。