大破ログ

日々大破、それと側転少々。PC関連その他、気になったことなどをつらつらと。

I-O DATA WN-AC1167GR

WN-AC1167GR内部

久しぶりにサポートまとめ記事連投。
今度はI-O DATA WN-AC1167GRです。WN-AC1167DGRに近い世代の機種ながら、USBポートを搭載せずそれの共有機能を持たないため、型番から "D" が落ちています。
某フリマサイトで900円程度の出品を見つけ、衝動的に購入しました。
初めての要素があったことなどから時間がかかっていましたが、PRを出しマージされました。まとめます。

仕様

私個人が作業してマージされたものとしては初となるMT7620A搭載機です。当初この機種を見かけたときはMT7621Aかと期待していましたが、残念ながら違いました。
2.4GHz帯にはSoC内蔵の無線機能を、5GHz帯にはごく一般的なMT7612Eを搭載し使用する構成です。
なお、どちらの無線機能の使用も法律の関係上非推奨です

  • SoC: MT7620A (580MHz, 1C1T)
  • RAM: DDR2 SDRAM 64MB
  • Flash: SPI Flash 8MB
  • WAN/LAN: 1000Mbps x1 / 1000Mbps x4 (MT7530)
  • UART: 57600bps(SoC側からTX, GND, RX, Vcc)

その他の詳細については、雑記を参照。

OpenWrt化

作業開始当初メーカーファームウェアのフォーマットが不明でしたが、解析できたためfactoryファームを用意できました。簡単にインストールすることができます。
2019/10/20 追記: WN-AC1167GRV6Pは未サポートです。factoryファームもフォーマットが異なるため使用できません。今のところV6Pのサポート予定はありません。

WN-AC1167GRを起動
WN-AC1167GRに電源ケーブルを繋ぎ、普通に起動。
WebUIにアクセス
PCとWN-AC1167GRをLANケーブルで接続し、 http://192.168.0.1/にアクセスしてファームウェア更新ページへ移動する
ファーム更新
WN-AC1167GR用のfactoryファームを選択し、アップデートを実行
完了
Flashへの書き込みが完了後再起動され、OpenWrtで起動してくる

備考とか

  • WN-AC1167GRのFlash内には "NoUsed" と名付けられたパーティションが存在しており、気になって中のデータを調べたところELECOM機用の各種データ(SSID名等)が格納されていた。後にWRC-1167GHBK2-Iをジャンクで入手して筐体を開けたところ基板がWN-AC1167GRと9割方同一であり、恐らくは設計が流用され、かなり近いレベルで製造されていたものと思われる。
  • この機種では、SoCはFE switchを内蔵するのみのMT7620Aでありながら、追加でRGMIIに単体のMT7530を接続することでGbE対応を行っている。
    この場合のDTSの構成方法については同じ構成と思われる機種が既にOpenWrtのramipsに存在しており、当初はEthernet周辺をそのまま流用して対応させた。しかしながら後でよく見直したところ、どうもMT7620Aが持つ2本目のRGMII(port4と排他利用)が中途半端に構成され、pinmuxでEthernetに結び付けられているにもかかわらず肝心のRGMII自体は有効にされていない状態だった。恐らくは、本来は2本目のRGMIIをMT7530のphy一つを利用してWANとして外に出すものと予想。しかし、実態は使用されていないので、その状態で2本目のRGMII周りの構成は削除して1本目のRGMIIのみでMT7530を使用するように構成した。
  • factoryファームの生成に必要な情報を探るのにかなり手間取った。
    Kernel + Rootfs部分がxor処理されていることは比較的早い段階で気づけたものの、先頭に付加されているヘッダの構造が長らく不明だった。
    ふとしたきっかけでメーカーファーム上でFlash内をひっくり返したところ、ヘッダのチェックを行うコマンドが存在しており、そのコマンドによるファーム展開時に吐き出される情報が非常に参考になり構造が判明した。
    ヘッダに必要な情報が少々多く(ベンダID、デバイスID、Kernel + Rootfsのデータサイズ(hex)、xor処理前のMD5sum)生成に複雑なスクリプトが必要になってしまったものの、一応PRではこれでパスした。
    このヘッダ生成スクリプトは、この機種以外にWN-AC733GR3とWNPR2600Gで利用できることを確認済みであり、ほぼ同じヘッダを持つELECOM WRC-2533GHBK-I, WRC-2533GHBK2-Tでも利用できる可能性がある。

色々

今回はfactoryファームの生成方法を見つけるのに手間取り、UARTを接続してインストールするしかないかと当初考えていたものの、最終的に解決でき簡単にインストールできるように仕上げられたので良かった。
NA(P)T速度としてはおよそ640Mbps前後平均して出ており、妥当なものかなという感じ。この辺りの11AC機はサイクルが早い場合そろそろお役御免になってくる頃かなという感じなので、OpenWrtで再度活用してみるのも良さそう。