大破ログ

日々大破、それと側転少々。PC関連その他、気になったことなどをつらつらと。

I-O DATA WN-DX1200GR

WN-DX1200GR内部

PRをオープン後、多少議論はあったものの意外と早くマージされました。I-O DATAの現行ミドルレンジ帯のこの機種です。
価格設定的にWN-DX1167Rの後継と思われる為、既にサポート済みのWN-DX1167R, WN-AX1167GR2と大体同じかと思いきや、いくらか違いがありました。
後回しにしていたら記事を書き忘れていました。まとめていきます。

仕様

WN-DX1167R, WN-AX1167GR2と同様にSoCにはMT7621Aを搭載しつつ、無線周りがMT7615D一つからMT7603E + MT7613BEの構成に変更されています。 その他の仕様はあまり変わりません。
法律の関係上、無線機能の使用は非推奨です

  • SoC: MT7621A (880MHz, 2C4T)
  • RAM: DDR3 128MiB
  • Flash: NAND 128MiB
  • WAN/LAN: 1000Mbps x1/100Mbps x4
  • UART: J5, 57600bps(三角マークから3.3V, TX, RX, NC, GND)

その他詳細については、雑記を参照。

注意事項

本機種もWN-DX1167R, WN-AX1167GR2同様に、snapshotファームウェアでの使用は推奨できません。理由も同じで、特定状況下でバグを踏むなどしてOpenWrtがブート不能になった場合に復旧が非常に困難である為です。
既にブランチが切られて最終的な準備が始まったOpenWrt 21.02リリースに含まれる見込みである為、それを待つことを推奨します。
21.01リリースがアナウンスされた後、こちらでテストして問題無ければこのブログのデバイス情報ページにある "Latest Rel." をsnapshotから変更予定です。

OpenWrt化

この機種もWN-DX1167R, WN-AX1167GR2同様にOSイメージを2つ持つ構造であることから、2段階でのインストールが必要です。

WN-DX1200GRを起動
電源ケーブルを繋ぎ、普通に起動
WebUIにアクセス
PCとWN-DX1200GRをLANケーブルで接続し、 http://192.168.0.1/ へアクセスしてファームウェア更新ページへ移動する
ファームウェア更新
OpenWrt initramfsイメージを選択し、アップデートを実行
sysupgradeを実行
上の手順を実行後再起動されOpenWrtで起動してくるので、そこでさらにそれぞれの機種のsysupgradeイメージを用い再度ファームウェアの更新を行う。これを行わないとinitramfsイメージでブートした状態であるため、変更した設定などが保存されない。
完了
Flashへのsysupgradeイメージの書き込みが完了後再起動され、OpenWrtで起動してくる

備考

  • 前述の通りOSイメージを2つ抱える形の為、OpenWrtにおいて Kernel + RootFS + ユーザーデータで使用できる領域は合計で 50MiB (0x320000) 程度。

作業時の色々

  • WN-DX1200GRは当初WN-DX1167R, WN-AX1167GR2と大体ハードウェア構成が同じかと思っていたが、実際のところ仕様でも触れたとおり差異があったほか、ソフトウェア面でもFlash内のパーティション構成がわずかに異なるなどしていた。
    しかしながら全体としてはほとんどが共通である為、当初WN-DX1167R, WN-AX1167GR2, WN-AX2033GRで用いているdtsiを一部手を加えた上で使用する方針だった。しかしPRをオープンしたところ "可読性が低いのではないか" という指摘があり、確かに自分自身そう思うところはあったのでdtsiの使用をやめて単独のdtsを使用するように変更しマージされた。
  • ある程度サポート作業が進み無線周りの構成に入った際、何故か5GHz帯用のMT7613BEにおいてMACアドレスが何度やっても正しく適用されない問題が起きた。
    ドライバを確認してみたところMT7613 (MT7663)においてはFlash内のeepromデータ読み取りがサポートされていない状態であり、それ故にeepromデータ内に埋め込まれているMACアドレスも適用されないということだった。
    ひとまずこれについては既知の問題としてcommit内に書き留めておいた。
    後日、MT7613 (MT7663)においてもeepromデータを読み込めるようにする変更が別の方によりOpenWrtに入った。

色々

上にも書いたとおり、意外とすんなりマージされたので安心した。
この機種は結局、メーカー公式ファームウェアが公開されるよりも先にOpenWrtのファームウェアが出ることになってしまった。なので、そもそもとして確保前にファームウェアの中身を覗くことができていなかったりする。
WN-DX1167Rが既に製造終了となり(WN-AX1167GR2も同様)、価格設定からして後継がこの機種であると思われ、入手性と価格的に良い機種と思われる。また、21.02リリースではDSAサポートが正式に入ってくるとされており、最初のリリースである21.02.0には間に合わないかもしれないもののDSAにおけるVLAN周りの整備も行われる予定で、その点でも扱いやすい機種となるかもしれない。