大破ログ

日々大破、それと側転少々。PC関連その他、気になったことなどをつらつらと。

ELECOM WRC-1167GHBK2-S

PRを投げたタイミングがOpenWrt 18.06のリリース準備作業真っ只中で、しばらく中の人からのコメント等動きが無かったのでWN-GX300GR同様リリース後になるかなーと思っていましたが、今日マージされました。

仕様

これもお馴染みのMT7621です。こちらはWN-GX300GRのMT7621Sに対し、デュアルコアの "MT7621A" が搭載されています。
無線については2.4/5GHz両方を1チップのMT7615Dでカバーしています。ただし、現状OpenWrt (MT76)でのサポートは無いため、使用することはできません。(まあどのみち電波法の問題がありますが)

  • SoC: MediaTek MT7621A (880MHz, 2C4T)
  • RAM: DDR3 SDRAM 128MB
  • Flash: SPI Flash 16MB
  • WAN/LAN: 1000Mbps x1 / 1000Mbps x4
  • UART: 57600bps(RJ45側からVcc, GND, TX, RX)

その他ハードウェアやKernel等細かい点の詳細については、雑記ブログにメモしてあるのでそちらを参照。

OpenWrt化

メーカーファームがOpenWrtベースであったこと、"firmware" パーティションにKernelとRootfsを持つ構造であったことから、factoryファームを生成させることができました。このため、簡単にOpenWrtを導入することができます。

  • WRC-1167GHBK2-Sを起動
    WRC-1167GHBK2-Sに電源ケーブルを繋ぎ、普通に起動。
  • WebUIにアクセス
    PCとWRC-1167GHBK2-SをLANケーブルで繋いで http://192.168.2.1/details.htmlにアクセス
  • ファームウェア更新ページへアクセス
    管理用アカウントの設定を要求された場合は適当に設定し、ファームウェアの手動更新ページへアクセス
  • ファーム更新
    WRC-1167GHBK2-Sのfactoryファームを wrc-1167ghbk2-s_v0.00.bin へリネームしたうえで選択し、アップデートを実行
  • 完了
    Flashの書き込みが完了後再起動され、OpenWrtで起動してくる

備考

  • WRC-1167GHBK2-Sはメーカーファームが前述のとおりOpenWrtベースであり、構造としてはKernel + RootfsをfirmwareとしてまとめているOpenWrtでよく用いられる手法
    • ただしRootfsはramfsであり、設定保存用のrootfs_dataパーティションfirmwareパーティションの後ろに存在
    • rootfs_dataの領域をOpenWrtで使用する場合、factoryファームでOpenWrt化した際に設定を引き継いでしまう可能性があることと、メーカーファームでのアップデートの仕組み上factoryからもう一度書き換える必要が出てくるなど面倒になるので、使用せずread-onlyでそのまま。
  • アップデート用ファームはヘッダが "ELECOM 機種名 バージョン" 、ファーム末尾にヘッダを除いた部分のmd5チェックサムが付くのみの構造。
    ヘッダ例:
    ELECOM WRC-1167GHBK2-S v1.03
  • メーカーファームでアップデートする際、ファームウェアのファイル名も見ているらしくOpenWrtのファイル名のままではエラーになる。
  • メーカーファームへの書き戻しは、バックアップ済みのfirmwareパーティションをOpenWrtでのfirmwareパーティションにmtd writeするか、もしくは未検証ながらアップデートファームからヘッダと末尾のmd5チェックサムを除去したものでfirmwareパーティションにmtd writeすることで恐らく可能。
  • Power LEDにRGBの三色が搭載されている。デフォルトではメーカーファームと同じくgreenを電源やステータスランプとして使用。
  • MT7621ではHW NATが実装されているため、WN-GX300GR同様にNATのCPU負荷をかなり抑えることが可能。

色々

今回PRを出してからWN-GX300GRほど時間は掛からなかったものの、メンテナの方からmtdパーティションのlabelについて指摘があったためそれだけ修正。
無線について何か言われるかなとも思ったものの、そちらはdtsにコメントを置いたのとcommitメッセージ内のspecificationにMT7615Dであることを書いたためか、特に何もなかった。

写真

2.4/5GHz両帯域を1チップでカバーしているためか、基板上の実装面積が小さいうえに基板自体も小さめ。

  • 筐体を開けたところ IMG_20180612_194509
  • 基板表側全体 IMG_20180612_195359
  • SoCとRAM IMG_20180612_195534
  • MT7615D IMG_20180612_195911