最初にPRを投げてから長らく掛かりましたが、やっとマージされました。そして記事書く気力を連続で失くしていたら遅くなりました。
ELECOMの現行ミドルレンジ帯である2機種です。ソフトウェア的には多少違いはあるものの、ハードウェア的にはほぼ同一である為この記事に両方とも掲載します。
ひとまず、まとめていきます。
仕様
基本的な仕様は、既にサポート済みのWRC-1167GHBK2-Sと大きくは変わりません。GST2では1167機以外のGST2系列と同様にRAMとFlashがそれぞれ2倍になっています。
法律の関係上、無線機能の使用は非推奨です。
WRC-1167GS2-B
- SoC: MT7621A (880MHz, 2C4T)
- RAM: DDR3 128MiB (NT5CC64M16GP-DI)
- Flash: SPI-NOR 16MiB (MX25L12835F)
- WAN/LAN: 1000Mbps/1000Mbps x4
- UART: J4, 57600bps(RJ45側から3.3V, GND, TX, RX)
WRC-1167GST2
- SoC: MT7621A (880MHz, 2C4T)
- RAM: DDR3 256MiB (W632GU6MB-12)
- Flash: SPI-NOR 32MiB (W25Q256JVFIQ, 刻印: 25Q256JVFQ)
- WAN/LAN: 1000Mbps/1000Mbps x4
- UART: J4, 57600bps(RJ45側から3.3V, GND, TX, RX)
その他詳細については、雑記を参照。
OpenWrt化
この機種もWRC-1167GHBK2-Sや他のGS/GSV/GSTシリーズと同一のファームウェアフォーマットであるため、factoryイメージの生成を行えています。
- WRC-1167GS2-B(またはWRC-1167GST2)を起動
- 通常通り電源を接続して起動。ルータモードを前提とする
- WebUIからファームウェア更新ページを開く
- PCとWRC-1167GS2-B(またはWRC-1167GST2)を繋いで
http://192.168.2.1
にアクセスし、ファームウェア更新ページを開く - ファームウェア更新
- WRC-1167GS2-BまたはWRC-1167GST2それぞれに合わせたOpenWrtのfactoryイメージを選択し、アップデートを実行
- 完了
- Flashへの書き込みが完了後再起動され、OpenWrtで起動する
備考
この機種も変な癖は特に無し。なのであまり書くことが無い。
- メーカーファームに戻す際は、公式サイトで公開されているアップデート用ファームウェアの先頭32byte(= 0x20、ヘッダ部分)を削って
firmware
パーティションにmtd
コマンドで書き込む
作業時の色々
- 最初にGitHubでPRをオープンしてからマージされるまで、だいぶ長く要してしまった。両機種とも無線の為MT7615Dを搭載しているものの、当初2.4GHz帯に加え5GHz帯を個々に無線アダプタとして有効化することができず1つのみしか現れないことからマージを渋られた模様。
長らく放置されたこともあり埒が明かないと判断、MLに投げようとしたところでmt76ドライバにおいて2つ目のアダプタも自動的に有効化されるようになり、それに絡んで色々行ったうえでMLに投げた。
しかしながら、ドライバ側におけるその有効化の仕方が若干雑と言えるもので、2つ目のアダプタに対するMACアドレスの設定周りが提供されていないなどの問題があり、その辺で議論になった。 - 最初PRをオープンした時点ではLED名にデバイス名を含むことが基本とされており、それ故WRC-1167GS2-B/GST2では既存のGS/GSV/GST系列と類似点が大きくありながらもDTSを分離した。しかしながら、後にKernel側の仕様変更に従ってデバイス名を含まない形に変更されたため、既存GS/GSV/GST系列と一部共通化したDTSIを作成する形の変更がOpenWrtのメンバー側で行われたうえでマージされた。
色々
とにもかくにも、マージされるまでにかなり時間を要したので、やっと肩の荷が降りた。今回もGS/GST系列ということで、既にあるfactory生成コードを使いまわせたので良し。
両機種とも現行機で入手性は良く、また1167機ということもあって価格がそこまで高くもないので良さそう。型番の "T" が意味するセキュリティ機能を持たずGST2よりも安価であることからWRC-1167GS2-Bを選んだり、RAMとFlashの多いWRC-1167GST2を選択するという感じになるかもしれない。
ちなみに、WRC-1167GS2-BはGST2に比べて筐体が若干大きい。