とある方より提供頂いたものの、ソフトウェア面で若干難がある仕様であること、内部ファームウェアの取り扱いで多少手を加えようとしたことなどから長らく保留になっていましたが、投げ込んでマージされました。
マージされてからだいぶ遅い記事ですが、まとめていきます。
仕様
基本的にはサポート済のWN-DX1167R等と同様にMT7621とNANDを組み合わせた無線機であるものの、MT7915Dを搭載して11ax (Wi-Fi 6)に対応した比較的新しい世代の機種です。
どちらかというとAP寄りの使用を想定した機種であるのか、有線ポートは計3ポートに絞られています。
なお、法律の関係上無線機能の使用は非推奨です。
- SoC: MediaTek MT7621A
- RAM: DDR3 256MiB (NT5CC128M16JR-EK)
- Flash: RAW-NAND 128MiB (W29N01HVSINF)
- WAN/LAN: 1000Mbps x1/1000Mbps x2
- UART: J2, 115200bps("1" のシルク印刷から3.3V, GND, TX, RX)
その他詳細については、雑記を参照。
OpenWrt化
これもWN-DX1167R等と同様に、2段階での導入が必要です。
- WN-DEAX1800GRをブート
http://192.168.0.1/
にアクセスし、ファームウェアの更新ページへ移動- OpenWrtのinitramfs-factory.binイメージを選択して更新ボタンを押下し、ファームウェアの更新を実施
- 更新が完了後再起動されるので、OpenWrtで起動したらsysupgrade.binイメージをscp等を用いてデバイス上に転送し、sysupgradeを実施
- Flashへの書き込みが完了後再起動され完了
備考
WN-DX1167RほかMSTCによって製造されたサポート済機種と同様に、この機種もFlash内に2つのOSイメージ用領域を抱えており、ファームウェア更新毎に切り替わる仕様となっている。
OpenWrtにおいては1つ目の領域のみを使用する。この機種ではU-Bootの環境変数領域に問題を抱えており、U-Bootのコマンドライン上でsaveenvを使用した場合環境変数領域が吹き飛ばされる問題が存在する為、絶対に使用しない。
もし誤って使用した場合、MACアドレスやパスワード、SSIDなど個体固有の情報が全て消失する。
作業時の色々
冒頭で触れた通り、Flash内部に抱える2つのファームウェアをどちらも扱えるようにしようとドライバを書くなどしており、他機種との兼ね合いもあったことからズルズルとWN-DEAX1800GRの作業も遅れていってしまった。
最終的には結局面倒になってしまい、既にサポート済のWN-DX1167R等と同じく1つ目のファームウェアのみ扱う仕様とすることで決着とした。上記の仕様で触れた通りMT7915Dを使用して11axに対応しているが、MT7621AのPCIe 1本では帯域が足りず、もう1本を合わせて計2本を使用することで帯域を確保している。
この為、MT7621AのPCIeの片方ではMT7915のPCI IDが返ってくるが、もう片方ではHIFと呼ばれる仮想的なインターフェースとしてのIDが返ってくる。既にサポートされているWN-DX1167R等と同じくMSTCの製造であるものの、メーカーファームウェアのWebUIが受け付けるファームウェア形式は少し異なるものが採用されていた。
この為、既存の生成コードが利用できず、WN-DEAX1800GR用に新たに追加する羽目になった。
色々
提供頂いてから2年程経過した末に、当初企図していた全てとはならなかったものの、ようやくマージまで到達することができた。
有線は3ポート止まりであるものの、他の無線機と比較するとわずかに筐体がコンパクトである為、選択肢としては有りかもしれない。