大破ログ

日々大破、それと側転少々。PC関連その他、気になったことなどをつらつらと。

BUFFALO WSR-3200AX4S

WSR-3200AX4S内部

某氏より提供頂き、とある事情から遅れに遅れたものの、ようやく投げてマージされました。

まとめていきます。

仕様

全体的には既にサポートされているWSR-2533DHP2と近く、一部のみ変更した形の11ax (Wi-Fi 6)対応機です。

法律の関係上、無線機能の仕様は非推奨です

  • SoC: MediaTek MT7622B (aarch64)
  • RAM: DDR3 512MiB
  • Flash: SPI-NAND 128MiB (W25N01GVZEIG)
  • WAN/LAN: 1000Mbps x1/1000Mbps x4
  • UART: J4, 115200bps(三角マークから3.3V, GND, TX, RX)

その他詳細については、雑記を参照。

OpenWrt化

WSR-2533DHP2同様にfactoryイメージを生成できている為、直接投入することが可能です。

  1. WSR-3200AX4を起動 なお、ルータモードに設定されていることを前提とする
  2. http://192.168.11.1/ にアクセスし、ファームウェア更新ページに移動
  3. OpenWrtのfactory.binイメージを選択し、更新実行ボタンを押下
  4. Flashに書き込み後再起動され、OpenWrtが起動して完了

備考

  • WSR-2533DHP2と同様に、Flash内にOSイメージを2つ抱える構成となっている。それらの使用方法も変わらず原則として1つ目が使用される仕様であり、OpenWrtでもその様に扱う。

  • WSR-3200AX4Sのサポートに際して必要が生じていたことから、WSR-2533DHP2に過去のファームウェアとの互換性を失わせる必要がある変更を行った。
    これについては別記事において詳細を記述する。

  • WSR-2533DHP2と異なり、badblockなどNAND特有の仕様の為や他の特定のパーティションの為にある程度の領域が割かれていることから、OpenWrt (kernel + rootfs + data) で使用できる領域はWSR-2533DHP2での 0x3a00000 (58MiB) に対して 0x1800000 (24MiB) と半分以下になっている。
    当然ながらユーザーがパッケージのインストール等に使用できる領域も小さい。

作業時の色々

  • WSR-2533DHP2と異なり、WSR-3200AX4Sにおいては無線用の補正用データ内に機種固有のMACアドレスが格納されていない。その為、無線LANの各アダプタに適切なBSSIDが割り当てられない。
    サポートを投げるにあたって問題となっていたのがこの点であり、過去にELECOM機を投げた際渋られた経緯があることから、長期間保留としていた。
    しかしながら結局のところ現状ではこれを解決する適当な手段が無く、仕方ないのでコミットメッセージ内に注意書きを載せて投げ込み、今回マージされるに至った。

  • WSR-3200AX4Sは仕様で書いた通りWSR-2533DHP2にかなり近いハードウェア構成となっており、それ故にまずWSR-2533DHP2のサポートの改善をいくつか行った。
    具体的にはOpenWrtの上流であるLinux Kernelで変更されたDeviceTree仕様に従うもののほか、MT7622には実際には存在しない仕様の為のコードの削除など。

  • スイッチICとしてRTL8367Sを搭載しているWSR-2533DHP2と異なり、WSR-3200AX4SではMT7531が搭載されている。

色々

1つ前のWN-DEAX1800GR同様年単位で時間を要してしまったものの、マージされて一安心。

残念ながらWSR-2533DHP2と比べてOpenWrt用として使用できる領域は小さいものの、MT7622搭載機としての選択肢は増えた。